水仙 – 水墨画の描き方

1968124

こんにちは。

毎年冬一番早く咲くのが、水仙ですね。よく見ると、ひとつの茎に6つ花が咲いてます。白い花の真ん中に黄色にこれも花びらなんでしょうか?最初は、花びらがあまり開いておらず、しっかりピンッとしてます。それがダンダン開き気味に、花も皺が寄ってきます。

開いてる花を描けば、それを見た人は、老成、ベテラン、時の流れといったものを感じ、閉じてる花には、未来、若さ、瑞々しさを感じるんじゃないか、という推測のもと花を描くと面白いです。

墨で薄い花びら、白い色、要はティッシュペーパーをどう描くか、結局花びらの先っぽだけを描いて、中抜きしてみました。それと黄色い部分は、真っ黒く、回りの花びらの白をコントラストで目立たせるように。

花びらは、筆を寝かせます。自分で十分と思ってる以上に寝かせるのがコツかも。筆が紙について、一呼吸おいて、筆を払います。真ん中は何も描かないで、見る人の想像に任せちゃいましょう。そのために、筆をもう払っちゃう。結構、スピード感をもって。筆を紙につけてひと呼吸、そして素早く払う。薄い質感はあまり出ないかもしれませんが、それは今回は捨てます。

真横から見てる花びらは、筆の側面でサッと。これも中心部まで描かないで

真ん中の黄色い部分は、思いきり黒くして。真横の部分は、稲荷寿司みたいな感じで。斜めの花は、2筆で

葉っぱも、筆を紙と水平になるくらい寝かせて描きます。葉っぱの先は丸めて。

水仙は、会社に行く途中のこんな花壇に咲いてました。身の回りに題材はたくさんあるもんですねぇ

 

 

栗 – 水墨画の描き方

水墨画 栗(Chestnut sumi-e)
(C) Kazu Shimura 2006

こんにちは。ケーキ屋さんにモンブランが並ぶと、栗の季節がやってきたと実感します。
栗も水墨画で描くと味あいの出る画題です。

イガ

まず殻斗(カクト:イガのことです)を描きます。
薄墨を筆に含ませ、筆を寝かせた状態でスライドさせます。
小さめ、大きめ、小さめと3つ描きます。

濃墨を筆に含ませます。雑巾に筆を置き、水分は少し取ります。
先を尖らせた状態に筆毛を整えます。
筆先から紙につけ、筆を移動させず、軸を傾け、そのまま毛の根元までを紙につけます。
スタンプを押すイメージです。
筆先を紙につけるときに少し方向を変えると雰囲気が出ます。
実は3つほど描きましょう。
実の先尖はなんとなく中央に集まっているイメージ

トゲ

筆を線描用に整えます。
墨は濃墨で。水分はよく取り、筆毛は固く。
先に描いたイガからトゲを細かく描きます。
筆を紙に置き、一息入れてから、外側に描き出します。
根元は少し太め、先端は尖らせます。
描き始めをまだ乾いていないイガからにすることで、筆の墨が次第に薄れていき、濃淡がついていい感じになります。

濃緑で若干厚めの葉です。
墨も濃くして描きましょう。

線描用に筆を整えます。
葉とイガを繋ぎます。

さんま – 水墨画の描き方

こんにちは。さんまの季節になりました。墨であの青銀のさんまを表現してみましょう。

水墨画 秋刀魚 "Sanma"

目と顔

筆は硬く絞り、線描筆に整えます。
墨は濃く。
まず目を描き、それから口を描きます。

背中

筆に濃い墨を装填します。
頭から尾まで一気に黒い線を引きます。
この黒い線がこの絵のいちばん重要な箇所です。
引く前にどこまで引くか、どう引くかをイメージしてから引きます。
引く時間は短く、考えるのは長く。

ヒレ

筆を線描に整えます。
整えてから、筆毛の曲がった外側を硯に置き墨をつけます。
こうすると、濃墨と薄墨の両方が1回で出て、濃淡が出るので立体感が表現できます。

滲み

洗筆後、墨をつけないまま、筆を横に持ちます。
先ほど描いた黒線の中央部に筆を置き、そのまま下に払います。
すると、黒線から滲みがでます。

黒い滲み

線描に整えます。
濃い墨をつけ、紙に筆を置きます。

紅葉 – 水墨画の描き方

こんにちは。

紅葉は竹と同じ描法で描ける画題です。竹のストロークを短くすると紅葉になります。
秋らしさを感じさせる画題ですので、ぜひチャレンジしましょう。

1.葉

紅葉(カエデ)の葉は、1つに7枚あります。なので、1つの葉を7筆で描きます。
最初は、真ん中、次に両端、その次が更にその両端。
最後に、小さく短い葉を描きます。
最後の2枚は、上向きに描くとバランスが取れます。
真ん中の葉が長過ぎると、形が悪くなります。
また、4−5筆目の葉の方向は、なるべく広げます。真ん中の葉に対し、ほぼ直交(やや下げ気味)くらいまで広げます。
7筆は、それぞれ描く方向毎に、筆を持ち代えます。直筆です。
葉の先を尖らすために、終筆は筆先で描き終えます。終えるように粘ります。
途中で筆を上げると、葉の先端が丸くなってしまいます。

2.葉のセット

一つのセットは、5枚の葉で構成します。
それぞれの葉の描き出しは、前に描いた葉と重なるところから始めます。
葉の先端が出ていれば、モミジの葉に見えます。
5枚の葉は、1回の墨で描きます。途中で墨を付けずに描き終えます。

3.セット

5枚1セットを、幾つか描きます。
描く前に、どんなものを表現するのか?考えてから、描き始めます。

4.幹

最初に筆先を紙につけ、筆をし手に引きます。
引きながら、筆を横に寝かせ、筆毛が全部紙に着いた状態で、筆を下に引きます。
最後、また筆を立たせ、筆先が最後に紙から離れるように筆を払います。
線描の筆を作り、幹の枠線を入れます。

5.枝

線描の筆で、幹から描きます。
コツは、あまり描かないこと。幹からの線と、一番先端の細い枝の線だけでも充分です。
最後の枝は、心持ち上向きに描きます。

とんぼ – 水墨画の描き方

Dragonfly sumi-e

こんにちは。

トンボは漢字で「蜻蛉」ですね。ところが、蜻蛉日記は、カゲロウ日記と読みます。調べてみると、蜻蛉日記は、陽炎日記、「カギロウ=はかない」という意味だそうです。

平安の昔、「カギロフ日記なるものを・・・」という箇所の漢字として、蜻蛉を当ててしまったそうです。。

言葉も時間とともにはかない存在です。

1.眼と口

眼は想像以上に大きいです。口も結構大きい。噛まれると痛い。

2.胴体

眼の後ろに、一度くびれてついています。これも大きい。
眼よりもだいぶ盛り上がって描くと雰囲気がでます

3.羽

羽は胴体の後ろに付いてます。
止まっているときは、結構胴体の上に付いているイメージで。
羽の前の部分に、補強材のような筋があります。
羽は先端から根元に向かって描きます。
筆先は尖らせず、指で押しつぶします。
紙に筆が付いたら一呼吸くらいしてから払う。胴体の上部分を目掛けて。
羽先が少し濃くなります。僕はヘリコプターをイメージしてます。

4.尾

枝を描くのと同じ技法です。

5.脚

胴体と眼の間から出ています。
フラミンゴとかトキのような一度後ろに曲がるような脚ですね。

 

コスモス(秋桜)- 水墨画の描き方

こんにちは。

コスモス(秋桜)、細い葉っぱと、テレビで風に揺れてるイメージが強いので、可憐な感じがしますが、花びらは太く、立派です。

花びらの向き、色、場所で、1枚の紙にどんな「流れ」を生み出すか?考えてから、描き始めます。

1. 花びら

  • 花びらの先っぽが、二つに割れてるので、筆の先を割ったり、2回に分けて描くと雰囲気がでます。
  • 花びらは8枚。上2枚を描き、両脇、下部分という順番で描くと、形を取りやすいです。
  • 風を受けてゆらゆらしている感じ、細い茎の先に花びらがついている雰囲気は、花を色々な方向に向かせるとでます。花の方向は、花びらの長さを変えて描きます。
  • 下の花びらを短く、上を長くすると、咲いた直後、上を向いてる感じ、左側を長く、右側を短く描くと、横を向いた感じ、下を向かせるには、上の花びらを短く、下側を長くします。
  • また、1つの花は、墨を付け足さないで描くと、徐々に色あせていく濃淡がシブいです。濃い花、薄い花を描くと、距離感がでます。自分が一番訴えたい花の向き、位置、形、の花は一番濃く描いてアピールしましょう。

2. めしべ、おしべ

  • 真ん中のめしべ、おしべも、結構大きく。

3. 茎、葉

  • 茎や葉は、薄墨で。筆は線描と同じ形にします。
  • それぞれの花に茎がついていることだけ意識しながら、描きます。実際のコスモスの茎が絡み合っているように、絵でもそれほど律儀に描く必要はありません。

ぶどう – 水墨画の描き方

Grape sumi-e

 

ぶどうは簡単な技法で描けるだけでなく、水墨画ならではの表現ができるとても面白い画題です。

1.実

濃墨を筆に含ませます。
一つの実は二筆で描きます。
まず、筆毛の先端を紙に押し付けます。
と同時に少し外側にひねりながら、筆軸を手前に寝かせ実の下半分を描きます。
そのとき、筆を持った腕は動かしません。つまり、筆の位置は固定されています。
ひねりと筆軸を立てた状態から寝かせる状態への移動だけで実の丸味を表現します。一回の墨で実を10個程度描きます。
最後の方は薄くなりますね。それは濃墨で描いた実に半分隠れた状態に描きましょう。半分だけ描きます。
実を描き終わったら、筆を洗います。
次に、線描用に筆を整えます。
濃墨をつけ、布巾に筆を置き水分を取ります。水分は少なめです。
実を繋げる線を描きます。
実のお尻に点を打ちます。

(筆を洗います)

2. 葉

筆を整えます。
筆軸を紙表面と平行になるくらいに傾けます。
そのままの状態で、筆毛を先から根元まで同時に紙につけます。
紙につけたら、そのまま筆軸と90度の方向にスライドさせます。
葉の上部と下部を意識しながら形を整えます。

(筆を洗います)

3.葉脈・蔓

筆を線描用に整えます。
葉に葉脈を描きます。
中心から端に向かい描きます。
蔓を描きましょう。

菊 – 水墨画の描き方

 

こんにちは。菊です。花を花芯から、葉っぱは黒くがポイントです。

1.花びら

  • 筆先を平らに、少しだけ先を狭めます。
  • 少し濃い薄墨を使います。
  • 花芯に近い花びらは、まだ若く元気が良いので、少し力強く描きます。
  • 筆を紙に下し、半秒程度待ち、そこから筆を払います。半秒待つことで、花びらの先端の色味を表現します。
  • また、平らにした筆先の筆跡が、そのまま花びら先端の丸みを表現します。
  • 少しだけ軸を回転させることで、花びらに曲線を付けます。
  • ただし、筆の動きは直線で、曲げたりはしません。
  • 花芯は、8枚で描きます。軸の回転で、8枚が球体に見えるよう花びらに曲線を付けます。筆を払う方向に注意。全ての花びらが一つの点を目指しているように描きます。
  • 外側の花びらは、花芯より長く。花びらの根元は全て中心に。
  • 菊の花の形は、横長、ダイヤモンド型に収まるように描きます。

2.葉

  • 一つの葉は、8回で描きます。
  • 全て中心から葉の先端へ筆を動かします。
  • 最初は、葉の最上部の部分、次に中、最後に最下部の部分。

 

滝 – 水墨画の描き方

こんにちは。滝の描き方を説明します。

1. 岩

薄墨で岩の輪郭を両岸に描きます。下は大きく、上は小さく。
次に、濃墨で、影を描きます。太陽がどの位置にあり、光線がどのように入っているのかイメージしながら。

2. 滝

筆を指で平らにして、描きます。
滝の描き出しは、水平に。盛り上がらないように。

3. 滝壺

水しぶきは、白いまま残します。
岩陰、水深が深い場所は、濃墨で。